頑者(埼玉県川越市)
さてさて、お昼の時間での最後の一杯はここ「頑者」にしました。到着すると約20人の行列ができており、少々迷いましたが並ぶことに。ここは総入れ替え制とのことで、列の動きは良くないですが、一気に動きますのでそこまで辛いものではありませんでした。結局1時間程待ちました。

色あせて破れた暖簾の古さが長い年月を物語っていますね。これまでたくさんの人がくぐったこの暖簾がこの店の力を教えてくれるようにも思えました。

店の外で事前に注文をとられて一気に作り出すので、席に座ってからは間もなく提供されます。
艶やかな麺のビジュアルがいいですね。つけ汁には多目の香味油と魚粉がかかっています。
つけ汁は甘辛酸のバランスがうまくとられていて流石といったところ。動物系の出汁は粘度は無いながらも濃度はしっかりとしており、そこに和出汁をあわせて旨味が重ねられ、そこに大量の魚粉がパンチを与えています。一口飲むと、鯖の青い風味がとても強く、今まで香っていた鰹節の華やかな香りとは裏腹に、獰猛ささえ感じる味わいに驚きました。ですが、それが臭さというわけではなく、味わいに大きなインパクトを与えているという感覚でしょうか。

麺は極太のストレートで、ツルツルの麺肌が美しいもの。そのまま食べてみると、歯を押し返すかのような強いコシがあり、かみ締めると、粉の風味や甘味が仄かに感じられます。
つけ汁につけて食べてみると、ツルツルの麺肌でうまく絡みにくそうに思いましたが、先ほどの鯖の風味はもちろん、出汁の旨味、魚粉、表面の油をしっかりと纏って、しっかりとした味わいが口の中を満たします。ですが、やはり味の乗りはそこまで良くないというのが僕の印象ではありましたが、しっかりつけ汁につけて食べればそこまで気になるものでもありませんでした。
つけ汁の温度は低めではありますが、魚介の出汁感や風味を味わうにはこれくらいの温度がよいと思うので問題ありませんし、つけめんは温度の変化で味が変化していくその過程が面白いものでもあると思っています。
中盤以降も麺の食感はだれることなく持続し、最後まで美味しく頂くことができました。ラーメンのほうの麺は途中から弱ってしまいボソボソの食感になってしまいましたが。
つけ汁の中に入っている刻みチャーシューはしっかりした味付けで、脂の旨味より肉の旨味を重視したもので、柔らかさの中に程よい歯応えを残しており、沢山入っているので食べ応えもありました。
最後にスープ割りをして頂くと、とても飲みやすい濃度で、魚介の香りに押されて一気に飲み干してしまいました。
とても旨い一杯でしたが、スタッフの覇気があまり感じれず、なにか静けさが強く印象に残っています。悪いわけではないですが、何か明るさが欲しいかなとは僕は思いました。
店を出ると、まだ行列が続いている。ほんとすごい店です。来れてよかった。

色あせて破れた暖簾の古さが長い年月を物語っていますね。これまでたくさんの人がくぐったこの暖簾がこの店の力を教えてくれるようにも思えました。

店の外で事前に注文をとられて一気に作り出すので、席に座ってからは間もなく提供されます。
艶やかな麺のビジュアルがいいですね。つけ汁には多目の香味油と魚粉がかかっています。
つけ汁は甘辛酸のバランスがうまくとられていて流石といったところ。動物系の出汁は粘度は無いながらも濃度はしっかりとしており、そこに和出汁をあわせて旨味が重ねられ、そこに大量の魚粉がパンチを与えています。一口飲むと、鯖の青い風味がとても強く、今まで香っていた鰹節の華やかな香りとは裏腹に、獰猛ささえ感じる味わいに驚きました。ですが、それが臭さというわけではなく、味わいに大きなインパクトを与えているという感覚でしょうか。

麺は極太のストレートで、ツルツルの麺肌が美しいもの。そのまま食べてみると、歯を押し返すかのような強いコシがあり、かみ締めると、粉の風味や甘味が仄かに感じられます。
つけ汁につけて食べてみると、ツルツルの麺肌でうまく絡みにくそうに思いましたが、先ほどの鯖の風味はもちろん、出汁の旨味、魚粉、表面の油をしっかりと纏って、しっかりとした味わいが口の中を満たします。ですが、やはり味の乗りはそこまで良くないというのが僕の印象ではありましたが、しっかりつけ汁につけて食べればそこまで気になるものでもありませんでした。
つけ汁の温度は低めではありますが、魚介の出汁感や風味を味わうにはこれくらいの温度がよいと思うので問題ありませんし、つけめんは温度の変化で味が変化していくその過程が面白いものでもあると思っています。
中盤以降も麺の食感はだれることなく持続し、最後まで美味しく頂くことができました。ラーメンのほうの麺は途中から弱ってしまいボソボソの食感になってしまいましたが。
つけ汁の中に入っている刻みチャーシューはしっかりした味付けで、脂の旨味より肉の旨味を重視したもので、柔らかさの中に程よい歯応えを残しており、沢山入っているので食べ応えもありました。
最後にスープ割りをして頂くと、とても飲みやすい濃度で、魚介の香りに押されて一気に飲み干してしまいました。
とても旨い一杯でしたが、スタッフの覇気があまり感じれず、なにか静けさが強く印象に残っています。悪いわけではないですが、何か明るさが欲しいかなとは僕は思いました。
店を出ると、まだ行列が続いている。ほんとすごい店です。来れてよかった。
玉川 大盛軒(埼玉県比企郡ときがわ町)
坂戸丸長を出た後、ときがわ町へ向かいました。途中で道の駅で美味しいコーヒーを飲みながら自然を楽しみつつ開店時間近くまで休憩してから店の前へ。

50分前に到着しましたが、まだ誰もおらず、店の風貌からも、営業するのかどうか心配にもなりましたが、店員さんが出てこられたので安心。そうこうしているうちに客が増えていき、開店時には15人ほどの列を作っていました。こんなところにあっても人は集まってくるのですね。
この店の特徴としては、やはり麺でしょうか。添加物を一切使用せず、更には水まで使用せず、材料は小麦粉、バター、卵、塩という、無添加無加水の麺を自家製されており、店の外からも製麺機が確認できました。

店の外は古い感じですが中に入ると、とても清潔感があり、とても居心地のよい空間。僕の座った席の目の前には、チャーシュー用のスライサー、ネギ用の自動カット機が置いてありました。券売機も導入されており、数多くのメニューがあり、結構迷いそうです。僕は今回はしょうゆ拉麺の食券を購入しました。
とても丁寧な仕事をされており、一度に作る杯数は6と多めではありましたが、その工程には驚かされました。丼を湯で温め、麺を茹でている間にチャーシューを切る。ここまでは普通にありますが、ネギまで直前に切って使用されていました。また一つ一つの工程にじっくりと時間をかけて作っておられ、こだわりをヒシヒシと感じました。そうしている間にも行列が伸びていっていましたので、回転は悪いですが。
届けられた丼からは、煮干しや鰹節の良い香りが立ち上ってきます。まずはスープから飲んでみると、動物系の骨の旨味は控えめながら、背脂を営業中も炊きながら作っているため、背脂出汁がしっかり効いており、そこにWスープ方式で合わせられた和出汁の旨味と香りが重なって、とてもバランスの良いスープになっていました。また醤油感もしっかりとあり、仕上げに振られた背脂もよい仕事をしていました。

そしてこの麺。無添加で無加水の縮れ麺で黄色がかったビジュアル。伸びがよいものではなく、その硬めの食感に特徴がありました。すすり上げるとその縮れから、跳ね回り暴れながら口の中に入り、噛むと粉がギュッと詰まった硬めの食感で、噛み切る時にはポクッと面白い音を立てて切れます。麺自体の塩分も感じ、麺に味があるという感じでしょうか。しなやかな麺が好みの方は苦手な部類になるのかなと思いましたが、僕は何でも好きなのでとても面白く感じました。
また、スープの吸い上げも良く、個性を感じつつ、色物のみで終わらないしっかりとした仕事を感じ取ることができました。デフォで3枚入る大判のチャーシューもしっとりとして、切りたてのため酸化した風味も無く、とても旨いものでした。切りたてのネギも、シャキッとした瑞々しさが素晴らしいものでした。
店を出るときには20人ほどの行列で駐車場に納まりきらず、路駐だらけという状態に。
また食べに行きたいと思える一杯でした。

50分前に到着しましたが、まだ誰もおらず、店の風貌からも、営業するのかどうか心配にもなりましたが、店員さんが出てこられたので安心。そうこうしているうちに客が増えていき、開店時には15人ほどの列を作っていました。こんなところにあっても人は集まってくるのですね。
この店の特徴としては、やはり麺でしょうか。添加物を一切使用せず、更には水まで使用せず、材料は小麦粉、バター、卵、塩という、無添加無加水の麺を自家製されており、店の外からも製麺機が確認できました。

店の外は古い感じですが中に入ると、とても清潔感があり、とても居心地のよい空間。僕の座った席の目の前には、チャーシュー用のスライサー、ネギ用の自動カット機が置いてありました。券売機も導入されており、数多くのメニューがあり、結構迷いそうです。僕は今回はしょうゆ拉麺の食券を購入しました。
とても丁寧な仕事をされており、一度に作る杯数は6と多めではありましたが、その工程には驚かされました。丼を湯で温め、麺を茹でている間にチャーシューを切る。ここまでは普通にありますが、ネギまで直前に切って使用されていました。また一つ一つの工程にじっくりと時間をかけて作っておられ、こだわりをヒシヒシと感じました。そうしている間にも行列が伸びていっていましたので、回転は悪いですが。
届けられた丼からは、煮干しや鰹節の良い香りが立ち上ってきます。まずはスープから飲んでみると、動物系の骨の旨味は控えめながら、背脂を営業中も炊きながら作っているため、背脂出汁がしっかり効いており、そこにWスープ方式で合わせられた和出汁の旨味と香りが重なって、とてもバランスの良いスープになっていました。また醤油感もしっかりとあり、仕上げに振られた背脂もよい仕事をしていました。

そしてこの麺。無添加で無加水の縮れ麺で黄色がかったビジュアル。伸びがよいものではなく、その硬めの食感に特徴がありました。すすり上げるとその縮れから、跳ね回り暴れながら口の中に入り、噛むと粉がギュッと詰まった硬めの食感で、噛み切る時にはポクッと面白い音を立てて切れます。麺自体の塩分も感じ、麺に味があるという感じでしょうか。しなやかな麺が好みの方は苦手な部類になるのかなと思いましたが、僕は何でも好きなのでとても面白く感じました。
また、スープの吸い上げも良く、個性を感じつつ、色物のみで終わらないしっかりとした仕事を感じ取ることができました。デフォで3枚入る大判のチャーシューもしっとりとして、切りたてのため酸化した風味も無く、とても旨いものでした。切りたてのネギも、シャキッとした瑞々しさが素晴らしいものでした。
店を出るときには20人ほどの行列で駐車場に納まりきらず、路駐だらけという状態に。
また食べに行きたいと思える一杯でした。
つけそば 丸長(埼玉県坂戸市)
夜遅くに車に乗り込み走り出した場所は埼玉県。この一杯を食べたくて、この店の前に行きたくて。
到着したのが朝の5時半。もちろん誰もいるはずも無く、駐車場でゆっくりと待ちました。
午前8時頃になると、暖簾もかかっていないのに一人、また一人と店の横の隙間に消えていく。気になって行ってみると、すでに営業されており、先に入店していた二人は食べ始めていました。そのあともどんどんと客が来られ、満席とはいきませんでしたがとても賑わっていました。朝早くからすごいものです。

坂戸丸長。丸長の経験は長野にある中野丸長しかないため今回が2店目となります。
こんな大きなシャッターのある前にとても小さな暖簾が堂々とかかっています。このシャッターは常に閉まっており、奥にある入口から入店するようになっています。

シャッターで来たからには「つけチャーシュー」を頼むしかありません。注文を入れると、年配の店主がスキの無い動きで作り始める。麺を豪快に茹で上げ、水しぶきを上げながら締める。つけ汁はあらかじめタレ、砂糖、ラー油が注いであり、そこに適当に近いくらいの目分量で酢を足していました。
そして提供されたものは、麺の上に分厚いチャーシューが5枚ものっており、かなりのボリュームを感じます。朝からこれを食べれば腹は重たくても力がつきそうです。つけ汁は澄んだもので、醤油と甘味が先行している味作りで、酢や辛味は仄かに効かせてあるものでした。動物系や魚介の出汁感は薄くて、調味料の味わいが際立ちますが、逆にそれがこの旨さにつながっているかのような印象を受けました。

麺はナンバーワンを使用した自家製麺で、つるんとした麺肌が美しく、コシも適度にあり、モチッとした食感と歯切れの良さも心地よく、嫌な麺臭もないため、純粋に麺を味わうことができます。
つけ汁につけてみれば、控えめな出汁感ながらも味や油脂が程よくのってくるため物足りなさは感じず、どんどん食べ進んでいけます。途中で酢やラー油などを加えて自分なりの味に調整する事もでき、今回は酢を多めに入れてみました。ビシッと引き締まってなかなか旨かったです。
チャーシューを食べる時に、つけ汁に入れてみると、最初から冷めていたつけ汁の温度がどんどんと低下していき、ぬるいと言うより冷たいものになっていきます。そして、表面には脂が冷えて固まったものが浮き始め、すごいことになっていきます。ですが、これがまたいいんです。チャーシューから肉や脂のコクが滲み出して味わい深いものになり、250gある麺が足りないと思えるくらい中毒性を感じてしまいました。もちろんチャーシューも僅かにあったつけ汁の熱を吸収し、しっとりとした食感、肉の旨味を蓄えたものでとても旨かったです。
長い歴史を刻んできたこの店に初めて行くことができた。僕が生まれるずっと前から存在していた丸長でやっと食べることができた。こんなことでも僕にとってはとても大きな経験になるんだと感じています。
到着したのが朝の5時半。もちろん誰もいるはずも無く、駐車場でゆっくりと待ちました。
午前8時頃になると、暖簾もかかっていないのに一人、また一人と店の横の隙間に消えていく。気になって行ってみると、すでに営業されており、先に入店していた二人は食べ始めていました。そのあともどんどんと客が来られ、満席とはいきませんでしたがとても賑わっていました。朝早くからすごいものです。

坂戸丸長。丸長の経験は長野にある中野丸長しかないため今回が2店目となります。
こんな大きなシャッターのある前にとても小さな暖簾が堂々とかかっています。このシャッターは常に閉まっており、奥にある入口から入店するようになっています。

シャッターで来たからには「つけチャーシュー」を頼むしかありません。注文を入れると、年配の店主がスキの無い動きで作り始める。麺を豪快に茹で上げ、水しぶきを上げながら締める。つけ汁はあらかじめタレ、砂糖、ラー油が注いであり、そこに適当に近いくらいの目分量で酢を足していました。
そして提供されたものは、麺の上に分厚いチャーシューが5枚ものっており、かなりのボリュームを感じます。朝からこれを食べれば腹は重たくても力がつきそうです。つけ汁は澄んだもので、醤油と甘味が先行している味作りで、酢や辛味は仄かに効かせてあるものでした。動物系や魚介の出汁感は薄くて、調味料の味わいが際立ちますが、逆にそれがこの旨さにつながっているかのような印象を受けました。

麺はナンバーワンを使用した自家製麺で、つるんとした麺肌が美しく、コシも適度にあり、モチッとした食感と歯切れの良さも心地よく、嫌な麺臭もないため、純粋に麺を味わうことができます。
つけ汁につけてみれば、控えめな出汁感ながらも味や油脂が程よくのってくるため物足りなさは感じず、どんどん食べ進んでいけます。途中で酢やラー油などを加えて自分なりの味に調整する事もでき、今回は酢を多めに入れてみました。ビシッと引き締まってなかなか旨かったです。
チャーシューを食べる時に、つけ汁に入れてみると、最初から冷めていたつけ汁の温度がどんどんと低下していき、ぬるいと言うより冷たいものになっていきます。そして、表面には脂が冷えて固まったものが浮き始め、すごいことになっていきます。ですが、これがまたいいんです。チャーシューから肉や脂のコクが滲み出して味わい深いものになり、250gある麺が足りないと思えるくらい中毒性を感じてしまいました。もちろんチャーシューも僅かにあったつけ汁の熱を吸収し、しっとりとした食感、肉の旨味を蓄えたものでとても旨かったです。
長い歴史を刻んできたこの店に初めて行くことができた。僕が生まれるずっと前から存在していた丸長でやっと食べることができた。こんなことでも僕にとってはとても大きな経験になるんだと感じています。