珍珍亭(東京都武蔵野市境)
「油そば」


油そばの元祖と言われるお店。
住宅地の中にあり、目立つ店構えではないのに、どんどんと集まる人たち。
少し待って入店すると、ほとんどの客が油そばを食べている。ラーメンや他のメニューもあるのだが、それだけ「油そば」に大きな魅力があるのかもしれない。
僕ももちろん油そばを注文。
非常にシンプルな面構え。ネギは丼の底に少量隠れているが、多くの客はネギを追加して丼の上にこんもりとネギが盛り付けられていた。
混ぜる前は、ほんのり黄色みがかった肌だった麺が、底に仕込まれたチャーシューダレとラードを持ち上げるように混ぜていけば、みるみると醤油色に染まっていき、ラードが麺肌に艶々とした照りを与えていく。また、混ぜれば混ぜるほどに、麺から出てくる小麦の澱粉質がネットリとし始め、更に絡みが良くなってくる。
我慢できず麺をすすり上げると、チャーシューダレ、ラードのみの味付けとは思えないほどに味わい深く、麺のモッチリとした食感と仄かな甘味も食欲をそそり、連食にも関わらず、勢い良く麺が減っていった。
途中でラー油を垂らせば、香ばしい胡麻の香りと引きの良い唐辛子の辛味が加わって、更に食べるスピードが増し、今度はラー油を多めに回しかけてみればオイリーになるのに箸は止まらない。
次は胡椒を一振り。と思ったら、かなりの量が出てしまった。でも旨いことには変わりなく。
醤油感の強い噛み応えのあるチャーシューをひとかじりして、また麺をすする。肉をおかずにしているかのよう。
最後は酢を回しかけてサッパリといただき、200gあった麺はあっという間になくなってしまった。大にしておけばよかったと後で後悔。連食でなければ特大でもよかったかなと思う。
こんなにシンプルなのに、恐ろしいほどの中毒性を秘めた一杯で、今書いている最中にもまた食べたくなっている自分がいる。
昭和33年…50年程前からこんな一杯が存在していたとは。そして今現在も歴史に埋もれることなく人々に愛され続けている。決して色物ではない渾身の一杯がここに存在している。


油そばの元祖と言われるお店。
住宅地の中にあり、目立つ店構えではないのに、どんどんと集まる人たち。
少し待って入店すると、ほとんどの客が油そばを食べている。ラーメンや他のメニューもあるのだが、それだけ「油そば」に大きな魅力があるのかもしれない。
僕ももちろん油そばを注文。
非常にシンプルな面構え。ネギは丼の底に少量隠れているが、多くの客はネギを追加して丼の上にこんもりとネギが盛り付けられていた。
混ぜる前は、ほんのり黄色みがかった肌だった麺が、底に仕込まれたチャーシューダレとラードを持ち上げるように混ぜていけば、みるみると醤油色に染まっていき、ラードが麺肌に艶々とした照りを与えていく。また、混ぜれば混ぜるほどに、麺から出てくる小麦の澱粉質がネットリとし始め、更に絡みが良くなってくる。
我慢できず麺をすすり上げると、チャーシューダレ、ラードのみの味付けとは思えないほどに味わい深く、麺のモッチリとした食感と仄かな甘味も食欲をそそり、連食にも関わらず、勢い良く麺が減っていった。
途中でラー油を垂らせば、香ばしい胡麻の香りと引きの良い唐辛子の辛味が加わって、更に食べるスピードが増し、今度はラー油を多めに回しかけてみればオイリーになるのに箸は止まらない。
次は胡椒を一振り。と思ったら、かなりの量が出てしまった。でも旨いことには変わりなく。
醤油感の強い噛み応えのあるチャーシューをひとかじりして、また麺をすする。肉をおかずにしているかのよう。
最後は酢を回しかけてサッパリといただき、200gあった麺はあっという間になくなってしまった。大にしておけばよかったと後で後悔。連食でなければ特大でもよかったかなと思う。
こんなにシンプルなのに、恐ろしいほどの中毒性を秘めた一杯で、今書いている最中にもまた食べたくなっている自分がいる。
昭和33年…50年程前からこんな一杯が存在していたとは。そして今現在も歴史に埋もれることなく人々に愛され続けている。決して色物ではない渾身の一杯がここに存在している。
支那そば あおば(東京都武蔵野市関町)
「ラーメン」


らーめんの鬼と呼ばれる、佐野実の元で修行をされた店主の開いたお店。
お一人でやられているようで、店内は狭くカウンターで数席のみ。メニューは、ラーメン、塩ラーメン、つけめんとあって、支那そばやでは提供していない「つけめん」が確認できた。
今回は初めて来たため、やはり基本の「ラーメン」を注文。
大きめの器になみなみと注がれたスープからは醤油の柔らかい香りとともに、鶏の甘い香りが立ち上ってくる。
一口飲んでみると、醤油の濃さは思いのほか控えめで、鶏の甘味と下支えとなる豚骨のコクが感じられる、スッキリとした飲み口ながら厚みのある味わいが印象的。昆布や椎茸、節類などの和素材も強く主張することなく役目を果たしていて、主役となる鶏の味わいを引き立てており、スープに浮いた鶏油も印象を更に強くしている。好みとするならば、僅かに醤油の効きが足りないかと思ったが、じわじわと染み込んでくるかのような出汁感を楽しむ事ができた。
麺は三河屋?それとも自家製?支那そばやの麺箱があったが。しなやかな麺線と、なめらかな肌が美しいもので、表面はモチッとしていて僅かに芯を残した茹で上がりが歯切れの良さを生み出しているもので、嫌な麺臭もほとんど感じられないもの。スープの吸い込みも程よく、一体感を感じられるバランスがとても良かった。
トッピングのチャーシューは肩ロースで、かなりの大判。肉の旨味をしっかりと蓄えていながら柔らかく仕上げられており、弾力のある肉質がたまらなく旨い。チャーシューメンにかなりの魅力を感じ、今度来るならば頼みたいと強く思った。
僕が知っている支那そばやの味からは、根本は同じかもしれないが、新しさというよりも懐かしさを漂わせる味わいで、昔の支那そばやの味わいを守っているのかなと感じられた。昔を知らない僕には比較は出来ないが、そんなことは関係なく、この一杯で出会えてよかったなと素直に思っている。


らーめんの鬼と呼ばれる、佐野実の元で修行をされた店主の開いたお店。
お一人でやられているようで、店内は狭くカウンターで数席のみ。メニューは、ラーメン、塩ラーメン、つけめんとあって、支那そばやでは提供していない「つけめん」が確認できた。
今回は初めて来たため、やはり基本の「ラーメン」を注文。
大きめの器になみなみと注がれたスープからは醤油の柔らかい香りとともに、鶏の甘い香りが立ち上ってくる。
一口飲んでみると、醤油の濃さは思いのほか控えめで、鶏の甘味と下支えとなる豚骨のコクが感じられる、スッキリとした飲み口ながら厚みのある味わいが印象的。昆布や椎茸、節類などの和素材も強く主張することなく役目を果たしていて、主役となる鶏の味わいを引き立てており、スープに浮いた鶏油も印象を更に強くしている。好みとするならば、僅かに醤油の効きが足りないかと思ったが、じわじわと染み込んでくるかのような出汁感を楽しむ事ができた。
麺は三河屋?それとも自家製?支那そばやの麺箱があったが。しなやかな麺線と、なめらかな肌が美しいもので、表面はモチッとしていて僅かに芯を残した茹で上がりが歯切れの良さを生み出しているもので、嫌な麺臭もほとんど感じられないもの。スープの吸い込みも程よく、一体感を感じられるバランスがとても良かった。
トッピングのチャーシューは肩ロースで、かなりの大判。肉の旨味をしっかりと蓄えていながら柔らかく仕上げられており、弾力のある肉質がたまらなく旨い。チャーシューメンにかなりの魅力を感じ、今度来るならば頼みたいと強く思った。
僕が知っている支那そばやの味からは、根本は同じかもしれないが、新しさというよりも懐かしさを漂わせる味わいで、昔の支那そばやの味わいを守っているのかなと感じられた。昔を知らない僕には比較は出来ないが、そんなことは関係なく、この一杯で出会えてよかったなと素直に思っている。
ラーメン きら星(東京都武蔵野市境南町)
「ラーメン」


以前行ったときにあまり良い印象が残らなかったため、再度食べてみようと思い伺いました。
狭い店内は満席。行列はありませんでしたが、なかなかに繁盛しています。
今回のスープの印象は、前回ともまた違い、かなりオイリーな印象。豚頭、ゲンコツ、背ガラなどを追い足して、髄の旨味だけを絞りとって作られたスープは、今回はやや豚臭さが強めに出ており、水分、タンパク、脂質が分離してしまっていました。そのため、出汁は出ているのに、油脂分が分離しているので、スープの粘度を伴った滑らかさが弱く、口の中に旨味が充分に残らないで味わいが消えてしまうのが残念ではありました。タレの効きは濃くも薄くもない丁度良い塩梅でしたが。
自家製の太麺は、モチモチの食感で嫌な風味も無く食べやすいもので、存在感がありながら、スープとのバランスも悪いものではありません。さすがに、このスープの中で粉の風味などはわかり辛いものでしたが、それは問題ないでしょう。
途中でキャベツの上にかけてある鰹餡を溶かすと、濃厚豚骨魚介スープに変化しますが、前回もそうでしたが、僕の好みとしては必要ないかなと感じました。純粋にトンコツを楽しみたいですしね。鰹餡は無しにすることも出来ますし、多めにすることもできますので、それは人それぞれの好みで調整してみるとよいと思います。
チャーシューはやや厚みが落ち着いていました。それでもなかなかのボリュームで食べ応えがあっていいです。
味わいに清涼感とサクサクとした食感をプラスしてくれる粗微塵のタマネギもとても良いアイテムではありますが、今日のスープの出来が気になって、あまり効果を感じ取ることができませんでした。
店主が言うには、二番だしを採らず、髄を出し切った骨を除いて、更に生骨を追い足していく手法とのことで、どうしてもタイミングによってはブレが生じてしまうとのこと。まるで家系のスープのようですし、この濃度を出すには相当の材料費がかかっているのでしょうね。
連続ではずれを引いてしまったのか、どうなのかわかりませんが、次に行くならばいい時間を考えていかなければいけないのかなとも思いました。


以前行ったときにあまり良い印象が残らなかったため、再度食べてみようと思い伺いました。
狭い店内は満席。行列はありませんでしたが、なかなかに繁盛しています。
今回のスープの印象は、前回ともまた違い、かなりオイリーな印象。豚頭、ゲンコツ、背ガラなどを追い足して、髄の旨味だけを絞りとって作られたスープは、今回はやや豚臭さが強めに出ており、水分、タンパク、脂質が分離してしまっていました。そのため、出汁は出ているのに、油脂分が分離しているので、スープの粘度を伴った滑らかさが弱く、口の中に旨味が充分に残らないで味わいが消えてしまうのが残念ではありました。タレの効きは濃くも薄くもない丁度良い塩梅でしたが。
自家製の太麺は、モチモチの食感で嫌な風味も無く食べやすいもので、存在感がありながら、スープとのバランスも悪いものではありません。さすがに、このスープの中で粉の風味などはわかり辛いものでしたが、それは問題ないでしょう。
途中でキャベツの上にかけてある鰹餡を溶かすと、濃厚豚骨魚介スープに変化しますが、前回もそうでしたが、僕の好みとしては必要ないかなと感じました。純粋にトンコツを楽しみたいですしね。鰹餡は無しにすることも出来ますし、多めにすることもできますので、それは人それぞれの好みで調整してみるとよいと思います。
チャーシューはやや厚みが落ち着いていました。それでもなかなかのボリュームで食べ応えがあっていいです。
味わいに清涼感とサクサクとした食感をプラスしてくれる粗微塵のタマネギもとても良いアイテムではありますが、今日のスープの出来が気になって、あまり効果を感じ取ることができませんでした。
店主が言うには、二番だしを採らず、髄を出し切った骨を除いて、更に生骨を追い足していく手法とのことで、どうしてもタイミングによってはブレが生じてしまうとのこと。まるで家系のスープのようですし、この濃度を出すには相当の材料費がかかっているのでしょうね。
連続ではずれを引いてしまったのか、どうなのかわかりませんが、次に行くならばいい時間を考えていかなければいけないのかなとも思いました。